ハーフティンバーの家
逗子の山に囲まれた自然あふれる土地にドイツの伝統的な建築様式「ハーフティンバー」を模した大正ロマン風の家を設計施工しました。
玄関
床にはレッドカーペットを敷きました。壁はクロスではなく全て白の塗装、腰壁も既製品ではなく杉材で大工さんが造作しました。
階段も世界観に合わせてクリ棒にしました。ドアノブは大正ロマン風に丸にしました。
大正ロマン風ですが、スマホでカギを開けられる玄関ドアにしました。
2FのLDKは12寸勾配の屋根の大空間です。構造計算をしたことにより、天井に見えているのは化粧ではなく登り梁という構造材です。梁を他の木部と同じように塗装しました。
そのため、屋根は外断熱という工法になっています。
カーテンボックスも杉材で造作しました。大正ロマンの世界観にするため、カーテンや家具にもお施主様のこだわりが詰まっています。
家具はどれもビンテージのものをお探ししており、新築でもどこか落ち着くような空間になっています。
リビングの奥には大きなFIX窓があり、そこからは緑が見えるので、喫茶スペースのように家具を配置できるようになっています。
家具も含めた世界観の統一が重要です。
照明器具もクラシカルなものにこだわりました。
寝室はロシア風の壁紙とカーテンです。
洗面台は造作しました。ミラーボックスは使わずに、収納はニッチをつくりました。
洗面ボウルは沐浴もできるくらい大きいカクダイのものを選びました。カウンターはゴムの木にウォルナット色でウレタン防水加工したものを使いました。
壁にはレトロなモザイクタイルをつかいました 。名古屋モザイクタイルというメーカーです。
意匠性とコストパフォーマンス
建築家に設計を依頼する場合、設計料だけではなく建築費が大幅に上がってしまうことがほとんどです。しかしそれは空間にこだわっているからというよりは「既製品を使わない」ということにこだわっているために起こっているとも言えます。
窓を木製で作ったり、建具を造作したり細かいことにこだわるほどにコストはどんどん膨れ上がっていきます。
今回の住宅では屋根の形状に大きくこだわりましたが、それによるコストの増加はさほど大きくありません。フローリングや建具に世界観を壊さない既製品をうまく使うことによってコストを抑えています。
コストのためにベニヤ板を敷き詰めたり、建築途中のような雰囲気にする住宅もありますが、そのほうがかえってコストがかかってしまいます。
ハーフティンバーも本物の木材で作っていますが、杉材を使っていることと、外壁にはサイディングを使っていることでコストを抑えています。
また壁には珪藻土や漆喰を塗ることも多いですが、この住宅の塗装で仕上げると費用を抑えることができます。クロスは継ぎ目ができてしまったり、ビニールの質感が嫌だという方もいらっしゃいますが、塗装は日本家屋の漆喰のように美しい仕上がりになります。
左官工事の方がムラができたり割れが起こるのを防ぐために多くの工程が必要になり、それに伴って工期も長くなり費用も多くかかります。
このようにこだわるところによってコストが大きく異なるため、そのバランスを見極めて既製品をうまく取り入れることによって意匠性もありつつコストを抑えた住宅を建てることができます。